【日曜メッセージ】「今はあなたの目に隠されていても」

「 あなたは全能であり 御旨の成就を妨げることはできないと悟りました。 」

（ヨブ記 42章2節）

今日はヨブ記という聖書の箇所についてお話しします。さて、新型コロナウイルスの報道がなされて1年以上となりますが、皆さんもこの一年は、大変な中を過ごしてきたと思います。しかし、この感染症がなくても様々な辛いことは私たちにおこってきます。これからも辛いことに遭遇したら、このヨブ記を思い出してほしい、そこに光を見出すことができると思います。

ヨブ記は次のように話が進んでいきます。信仰深く正しい人ヨブは、堕天使サタンの策略により、家族や財産を失い（1章）、全身に悪性の腫物ができ、大きな苦しみに遭う（2、3章）。そのようなヨブに3人の友人たちは、あなたが罪を犯したから苦しみを受けているのではないか、と話しかけ、ヨブは身の潔白を激しく訴える（4～25章）。ヨブは神に向かって、何故助けてくれないのか、自分は正しい行いをしてきたのに！と叫び続ける（26～31章）。ヨブと3人の友人の話を聞いていた若者エリフは、ヨブが神よりもむしろ自分自身を義としたため怒り、神への対等性を主張したヨブを激しく糾弾する（32～37章）。そこへ、ついに主なる神自らヨブに語りかけ、神の領域の偉大さ、深遠さについて思い出させる(38～39章)。ヨブは自分を取り戻し、主に謝罪し（40章）、「あなたは全能であり 御旨の成就を妨げることはできないと悟りました」(42章2節)と主に答えた。主は真実を語らなかったヨブの友人に怒る。友人たちはヨブに贈り物をささげ、ヨブは友人たちのために主に祈る。そして、ヨブに平和と繁栄が戻る(42章)。

聖書には、主がヨブを許した、という記述はありません。最初から主はヨブが正しい人であったことを知っており、辛い時に自分を見失うことはある、と人の弱さを承知していたかのようです。

私たちにもとても辛く、神様に祈っても何も変わらない、という時があります。そこで自分を見失ってしまうこともあるでしょう。そんな時、ヨブの話を思い出しましょう。そして、神様が沈黙していても、いつかは必ず神様が守ってくださるということを信じ続けることが大切です。人より遥かに偉大な主が、皆さん一人ひとりを愛して、忘れずにそこにいるという安心感を持つようにしましょう。気が付けば春はすぐそこに来ているかも知れません。

(酪農学園大学獣医学類教授　蒔田浩平)